鉛筆というデザインを変革する発想


(C)Akio Hayakawa
車や電話のコンセプトデザインというのは題材として扱いやすいからかよく見るのですが、「文房具」のコンセプトデザインというのは、あんまり見かけません。
機能やレイアウトなどにおいて考察の価値のある電子機器に比べ、文房具というツールとしてのシステムが単純すぎて、改革を起こしてしまえば全然「別物」になってしまうというところにも理由があるのかもしれないですが。
それだけハサミやペンなどはビジュアル的にもシステム的にも洗練されているということですね。
ハサミなんて力学的にも人間工学的にもすごい発明品ですよね。いじりようがない。
さらにもっと単純な構造を持つ「鉛筆」なんですけど。
書く、という機能だけ。炭素を主成分とした鉛筆芯がメイン。手を汚れないようにし、持ちやすくするための補助軸としての木材がそれを覆うという非常にシンプルな作り。単価的にも安い。
余りにもシンプルでスマートなので、デザインの提案をする要素もないように思えていたのだけど。
鉛筆のコンセプトデザインをした人が現れちゃった。


新しい鉛筆のデザインを提案したのは、愛知県生まれのフリーランスのデザイナー、早川?明男(はやかわ?あきお)さん。
新しいデザインには問題提起が必要なのですが、早川さんの目の付けたところは「芯を最後まで使い切れない」という部分。
鉛筆は使い続けるうちに鉛筆削りで芯を出していくという行為が必要になりますが、鉛筆削りに突っ込めない短さになってしまうと、削れないし、持つことができなくなるしで、最後まで使い切れないで捨てることになってしまいます。
補助的にアタッチメントみたいな部品を付けることで長さをキープするということはできますが・・・。
ただこの解決方法は、なんだかチープですね。
で、早川さんの解決方法なのですが。
写真を見てもらうと分かるのですが、芯の方が木材より短くなっているのです
つまり持てなくなる頃には、中の芯は使い切って無くなっているということですね。
この発想は、なるほどと思いました。
逆転の発想というか、何かを付け足せばいいと考える人が多い中、芯の方を減らすという単純な方法で、問題解決してしまうという。
デザインには気付くという能力だけでなく、こういう俯瞰で物を見るような客観さも大事だと思いました。
でもこの考え方は、いろんなところでも流用できるはず。
こういう小さな気付きを大事にしてみたいと思います。
ちなみに鉛筆なんですが、僕は学生の頃から使う機会がなく、今でも筆記用具はボールペンです。
たまにマークシートとかで「鉛筆を使ってください」と言われると、とても困ります。
絵でも下描きしません。履歴書もいきなりボールペンです。
「消しゴムで消せないじゃん?」と、よく聞かれるのですが、もちろん消しゴムも使いません。
1回書いたものはもう消さない、という感覚が大切なのかなぁとか、消すの面倒くさいから初めから消す気がないつもりで描こうとか、ボールペンを使い始めたのはいろいろ理由があったと思うのですが。とにかく鉛筆使いません。
そんな僕が感激したのは。
最近のデジタル化で書いたテキストや画像が簡単に編集・削除できるって、すごい便利な世の中ですね! ということです。
こういう習慣にしてよかったと思うメリットですが。
最初に欄の空間を把握して、適度な文字の大きさで欄に収めるように書くことができるスキルを得たというところだけなので、あまり一般人にはおススメしません。

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