幻の野生のラーメン「身空(ミソラ)」(屋台ラーメン/舞阪町)


美味しいという評判は聞くことが多いのですが、不定休の屋台ラーメンのため食べられずにいた噂のラーメン「身空(MISORA・ミソラ)へ行ってきました!
見た目がアグレッシブでファンキーな、イかした屋台ラーメンです。
実は、1回訪問したことがあったのですが、場所がどこかも分からず、最終的に見つけたはいいのですが休みで真っ暗だったという暗い過去が。
今回は、ちゃんと WEB で確認してから行きました!
浜松市 屋台拉麺 身空(MISORA)‐FC2ケータイホームページ
http://k2.fc2.com/cgi-bin/hp.cgi/misora-sid/
かなり自由に不定休のお店なのですが、営業日は「○月○日、本日営業」と書かれるので、WEBをチェックするのをおススメします。昔は夜間のみの営業だったのですが、現在はお昼だけの営業になっているようです。しかも1人でやっているため買い物に出ている間にお店に行ってしまうと開いていないという。これはもう幻のラーメンといっても間違いないです。


場所ですが、イオン浜松志都呂店の西側の道路を、まっすぐ南に向かってバイパスに乗る直前の交差点になります。
うっかりすると見逃します。夜間だと周囲に何もないのでイルミネーションで分かりそうですが、昼間だと逆に見つけにくいような。
畑の隅にある農作業入れの小屋くらいをイメージして探したほうが、見つけやすいと思います。
外見は上の写真の通り。
最初、見た瞬間に「どこから店に入るんだ?」という疑問がまずわきます。
「屋台ラーメン」というイメージから、たこ焼き屋やタイ焼き屋のように窓から注文を取って受け取るものなのか、野外にテーブルが並べられてそこで食べるものなのか、テント形式のものなのか、というところですが。
最後の「テント形式」が一番近いイメージです。
車を停めているいる間に、小屋の1部が開いて、店主が顔を覗かせてくれたので、入口がようやく分かりました。
というか、店主さんは優しそうな人なので、敢えて分かりやすくするように顔を覗かせたのだと思います。店主さんありがとう。

中に入ると、地面は地肌でした。
屋台形式では違和感ないと思うのですが、四方を壁に囲まれた室内のような雰囲気だと、床が地面ってなんかすごく違和感を感じますね。いや、本当にテントならおかしくないのですが。
それだけ、この室内のように思える小屋が完成度が高いということなのでしょうか・・・。
音楽は「中古屋で購入したグレードの高い高級スピーカー」みたいなものが地面に置かれ、JAZZみたいなのが流れていました。店内の至る所にウクレレや譜面台といった音楽関係のものが置かれていたので、店主さんはバンド活動などもしているかもですね。
天井を見てみると、最初の骨組みはテントだったことが分かります。
そこから補強につぐ補強を重ね、雨を凌ぐトタン板の天井が付き、木材で補強され、風をしのぐ壁が追加されて・・・と現在のような店の姿になったのではないでしょうか。ところどころに針金などが結ばれていましたが、まったく錆びついてはいませんでした。
メニュー表を手渡されると、マニアックなキーワードがぎっしり。
ラーメン知識の低い僕にはよくわからない、マニアックな世界観。
スープ出汁の種類など、こだわりがあるようなのですが、全く分からないので店名のついた「ミソラ」という味噌ラーメンを注文。

小屋の壁際で、お客さんに背を向けて調理するのですが、丸見えです。
地面に直に置かれた小型の冷蔵庫、発砲スチロールで冷やされているミネラル水、買い物袋に入ったままの食材をがさごそとしながら調理開始。コンロは学生アパートでよく見るアルミの流し台のようなものです。
電機やガスがどこから来ているんだ? とまず思うのですが、普通に小屋にひっぱりこまれているみたい。
ただ水道水がどうなってるか心配。どこかに蛇口があるんだろうか。
食材などは、業者用スーパーで間に合わせるというより、自分が気に入って選んだものを各所で随時購入するというやり方みたい。あんまり効率的な経営を考えられるほど器用な店主じゃないみたいですね。
調理しているところを見ていると、食材はともかく。
平べったいフライパンのような鍋・・・というか鍋じゃなく小型のフライパンそのもの? でラーメンを煮ていました。
おそらくお湯が少なくて火力が直接伝わるからそうしているんではないでしょうか。
ただ、寸胴鍋に麺の玉を放り込んでおけばいいという調理法ではなく、麺に付きっきりで手元も動かしていないといけないのでこっちの調理法の方が大変そうですが。
初期投資の借金をして設備を揃えれば、もうちょっと楽に経営できそうなんだけど。
ただそういう操業をしなさそうな店主。

15分ほど待って、ようやくラーメン到着。
「超濃厚味噌拉麺 ミソラ」900円。
持ってくるときに少し説明もしてくれます。
一緒に付いてきた小瓶は市販の「四川風 ラー油」。最後にちょっと入れて味を変更しても良いみたいです。
「塩加減が気になるようなら調節します」と、味に対するこだわりがあるようでした。
「スープOFF」と書かれていたので、「まぜそば」や「油そば」のようなスープが少ない濃厚なものを想像していましたが、イメージ通りのものでした。麺にソースがかかったようなものを想像した方が早いです。
八丁味噌をベースにした味噌スープ、刻み海苔、ダイスカットの玉ねぎ、とろとろに崩れてスープに同化したシーチキンのようになったチャーシュー、天かす、味玉1個ぶん、ちぢれ太麺という構成。

まずスープを味見しようとしたところ、どろどろすぎてすくえない・・・。
しょうがないので、麺に絡めて一口。
衝撃的な一口でした。
浜田山を食べた時も衝撃的でしたが、こちらもインパクトのある味。食べてる途中から、もう他のラーメンも食べてみたいという欲求が止まりません。
というか、スープが飲みたかった。
こだわりのラーメン屋さんのスープが飲みたかった。ごくごく飲み干したかった。
しかし、どろどろのこのラーメンでは夢適わず。
麺は自家製ではないと思いますが、茹で加減も丁度良く美味しいです。
スープの方は量が少ないので判別しづらいですが、八丁味噌と玉ねぎの相性が良く、直接的ではない奥深い辛さと芳醇な香りがあります。麺を食べ終わった後に少し残るのですが、このスープにご飯を突っ込んでおじやにして食べたら美味しそうだった。ご飯メニューないみたいだから断念したけど。
チャーシューは固形ではなく、どろどろに崩れてスープと一体化しています。麺に絡みやすいので、これはこれで美味しい。
天かすなども入っていて、けっこうクリエイティブ。
各エリアに分かれていろんな味が存在するので、濃厚でくどいように思えても、最後まで楽しめます。
そう思うと、スープが少ないというのは味が混ざらないようにするのに丁度良い設計ですよね。
化学調味料を使わない、というのが売りだそうで食通の間ではこのことを「無化調」というらしいのですが、桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」(通称:桃ラー)を使用しているので、完全な「無化調」ということにはなっていないらしいです。
ただ実際、化学調味料を使わないで調理する、ってすごくない?
自分で素数である素材同士の相性を見て、掛け算で味を構成するってことでしょ。
先にある程度の設計ができていないと難しそう。
とにかく、ラーメン好きが作る独創性のあるラーメンという感じで、すごく美味しい!
修業をして技術的に完成されたトラディショナルなラーメンとは全く逆の、野生から出現した新鮮で生命力に満ち溢れた拉麺と言う感じです。これはこれで、どんなラーメンを見せてくれるのかワクワクするお店です。
他のラーメンがどんな味なのか確かめてみたいという欲望が止まりません。
不定休なところが難で、すごく行きにくいのですが、チャレンジをしてまでも食べに行く価値のあるお店だと思います。

またひとつ、応援したくなるお店が増えました!

屋台拉麺 身空ラーメン / 舞阪駅

昼総合点★★★★ 4.5

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