アフォーダンスに何が起きているのか

昨日でようやく面接終わりました。
「面接をする方の立場ってどんな気分?」という質問を社内でもされて、改めて自分の気持ちについて考えてみたのだけれど、単純に能力が高い人を採用、という問題じゃないような気がします。特に新卒の子なんて全員実績ないから能力なんて分かんないし。
他人を評価して選ぶ、というよりは、自分自身のチームの体制づくりをどうするかという感じ?
自分がどっちに進もうとしているのかとか。
現在就職難なので、面接官に対して「お前らに人を見る目あるの?」的な論争を若い子とかはしそうなんだけど、面接官が選ぶのは他人じゃなく、自分の気持ちなのかもね。


さて、「面接」というキーワードで、いつも思い出す事があるのです。
面接にきた学生が何もないガランとした部屋に通されて「ここで待っていて」と言われる話です。
学生は言われるがままに部屋の中央にあった椅子にこしかけ、待ちます。
別に何のヒネリもない普通の話なのですが、認知心理学的には、とても興味深い事象があります。
『学生は椅子に座った』という部分です。
部屋の中央にある物体は、実は椅子でなかったかもしれません。
正座して使うテーブルかもしれないし、花瓶置きの台かもしれない。
でも何故、学生はその物体が「椅子」と思い座ったのか、が面白いのです。
これには「アフォーダンス」という知覚の概念の説明がいります。
アフォーダンス – Wikipedia
「椅子」という物体について明示的に教わったことはないのに、何故かみんなそれが椅子だと知っている、ということですね。
椅子の概念は、おそらく「腰掛けて、足が折り曲げられる高さ」「お尻が丁度乗りそうな大きさ」というところが最低限なもので、ここにデザインが入ると「お尻を柔らかく包むクッション」「楽そうな背もたれ」「くるくる開店できる脚、もしくは安定して体重を支える4本脚」みたいなものだと思います。
つまり、クッションがあればコーヒーを置きそうなテーブルには見えないし、背もたれは明らかに花瓶置きには必要ないのでデザインから判断できるってことですね。
外食に行った店舗で、不思議にトイレの場所が分かる時と、店員さんに聞かなければ分からない時があると思います。
前者は「セオリー通りにトイレの場所を配置設計した」場合で、後者はイレギュラーなため判別できなかったのです。
このことは、一般的なその他大勢が考えつきそうなことをすることで、人に伝えやすいデザインにできるということになります。
WEBでいうと、リンクの色を変えない、とか。
青色に下線はリンクの色という固定概念があるので、これを通常のテキストの装飾にすると、みんなそこをクリックして「?」となります。
※このテキストとか、みんなリンクだと思うってクリックしちゃうでしょ? でも実際はリンクじゃないです。
逆に言えば青色に下線のデフォルトにしとけば、みんなそこをリンクだと知覚できます。
ちなみにこの例は「リンクはデフォルトのままにしろ!」と脅迫じみた教えになってるそうですが、そんなことはなく、単純に青色下線を装飾で使うと間違えるから止めといたほうがいいよ、というお話。
例え赤色のリンクテキストでもそれがサイトポリシーとして統一されていればクリックできないなんてことはない。
人間はそこまでバカじゃないし。
でも「セオリー通り」作るっていうのが、経験ない人には一番難しいそうな。
そりゃ下積みしてる人としてない人じゃ差が出たりするものな。
社長が新卒の子への課題に「人を驚かせる」というのを出してるのを聞いて、なんとなく僕は先程の椅子の話を思い出して、テーブルの上に座って待ってる子を想像したりしてました。
そんな人、採用されないと思うけど。

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