昨年オープンした「彩席かわかみ」にようやく行ってきました!
「かわかみ」は街中の創作居酒屋「凡猿」の料理長だった川上さんが独立したお店。
実家が中華料理「朔軒」なのですが、そこを継がずに自分が修業した京料理の店としてオープンしました。
ここだけの話、とある街中飲食店の料理長にインタビューする機会があり、多少意地悪に「街中飲食店で、気になるというか美味しいと思う店は?」と聞いたことがあり、その人が上げた店名が凡猿で、そこに当時在籍していた川上さんの名前でした。
料理人の感覚が分からないのでどこがどうなのかがうまく聞き出せなかったのですが、「別格」であり「才能」という言葉を多用されていたので、よく覚えています。
そんなこともあり、オープン時は海外出張中だったこともあり行けない思いに歯がゆかったのですが、今回行ってみて、やっぱり美味しかった! そして自分自身の創作意欲もわいた!
浜松で京都料理というと「いっ木」が真っ先に出てくると思います。
一木さんのところはトラディショナルな京料理。伝統と格式高い京の料理を華やかに、「ブランド」としてのきめ細かな技術の料理を楽しめます。
「かわかみ」の川上さんのところは、モダンな京料理。プラスされたオリジナリティ。京料理の「芸術性」の部分を進化させ個人の裁量で自由に改善された文化ともいうべきも。
両方とも同じ京料理ながら別物といってもよく。
2人のことを考えながら食べながらいろいろ感じたのは、やっぱり生きている時間って無駄なところはなく。
例えば、一木さんは1店で昔ながらの伝統文化を仕込まれ継承することを前提に、哲学を貫きとおすことを学び。
川上さんは、いろんな店で経験を積むことで多種多様で多彩な文化を研鑽し、縛られない自由な発想を創りだすことを学んできたのではないでしょうか。
かたや大地に根差すメッセージ。
かたや翼を持ち天駆け抜けるメッセージ。
いろんな仕事があるんだなぁ、としみじみ思わずにはいられませんでした。
たぶん、世の中にはいろんな1番があって、みんなそういう強さを持っているものだと思います。
僕はいろんな会社を経験したので、そのぶんいろんな勉強が(自分の意志とは関係なく)できたような気もしますが、生え抜きの社員の人たちは見える天井は1つでしかなく井戸の底の暗闇では自分自身が蛙であることも気づかない可能性があるとも思っていたのですが、なんとなく今まで疑問に思っていたことが解決した気がしました。
感性を揺さぶる料理っていいですね!
ということで、料理。
マスカットのみぞれ。
しょっぱなからマスカットに大根おろしですよ。
誰も思いつかないですよ、こんなの。
でも美味しいので、新たな人生経験がいきなり刻まれてしまいました。
そういえば今回はカウンターでは無く個室。
個室は1部屋で、2つのテーブルがあって2組が利用できます。
閉鎖空間のため声が響くので、隣の組に丸聞こえなので内緒話にはむかないですね。
ちなみにこの日は、記録的な大雨の日なのですが、カウンター席はすぐいっぱいになって2~3回転ぐらいしてました。
冷たい芋と茄子。
茄子の美味しさが尋常じゃない。形が崩れないし、これどうなってるんだろ。
あん肝と白子。
味噌のようなもので味付けされていて上品。苦手な僕でも美味しく食べられました。
土瓶蒸し。
昔、デートでこれ食べ方わからなかったことは恥ずかしい想い出。
出汁が出ていて美味しくて、ほっこりした気分になります。
ゆずを絞ることもできるのですが、僕はそのまま飲み干しました。
ちなみに中身はマツタケ。
高級食材松茸をまるごと1本使ってくるあたり、僕の財布事情をご存知ないようですね…。
鱧も両方ともメチャクチャ美味しい。これいくらでも食べられますよ。
日本酒。切子硝子も綺麗ですね。
最近、竹とかマジでカッコイイと思ってインテリアに欲しいのですが似合う部屋がなくて残念。和室もっと増やしとけばよかった。
マグロのトロ。
この脂の乗りよう・・・っていうか、のりすぎじゃないのこれ?
海苔にくるんでいただきます。
舌の上でとろける感覚がいいですね!
お魚。
少し桝形&凡猿っぽいですね。金目鯛の少し炙ったとことか。
どれも美味しい。
焼きもの。
なんだか八寸に対するリスペクトみたいなの感じます。
どれも美味しいのだけど、組み合わせとかよく考えられてるなぁ、と。
細かいとこまで気を使って細工されてます。これ1人で準備してるんだからすごいなぁ。
タイの屋台でのカービング技術もよく手間かけてやるなぁと思ってたけど、すごい頑張ってますね。
あとこれ、名物の「〆鯖クラブサンド」。しめ鯖をサンドイッチみたいにしたもの。
まずみんなこれに衝撃を受けるらしいのですけど。なんか皆に何回も聞いたので。
あのな、たかが普通のしめ鯖を普通にパンに挟んだだけのやつじゃん。
こんな合うかどうかも分からないやつをみんな旨い旨い言いすぎ・・・って旨い! なにこれ滅茶苦茶美味しい!
しめ鯖にパンって合うね! いいよ、しめ鯖パン!
なんだろう、しめ鯖にバター&マスタードという組み合わせが新しい味と食感になってるのかなぁ。それにしても、こんなシンプルな味の発見できるってすごい発想ですね。
しめ鯖という魚の調理法で水分が少なくなっているものに、同じく鉄板か何かの高熱で長時間かけてパンの水分を飛ばしているというのがこの調理法の味の構成の秘密なんだと思うけど。
すごいな、このクリエイティブ。こういう独創性って見習いたい。
あと白味噌。
これメニューに無く、普通提供してないそうなんですが、特別に出してもらいました。
赤味噌に対する白味噌での味噌汁とか世間のイメージありますけど、京都の白味噌とは全くの別ももので、白味噌の味噌汁とか京都人はびっくりするらしいですよ。
で、京都人の「白味噌」はこちらなのだそうです。
中身は茄子とお餅だったのですが、京都ではお正月の雑煮としてこの「白味噌雑煮」が食べられるみたいですね。給仕してくださった奥様は京都人とのことで精通してるみたいでした。
知らなかった…。ウチの雑煮とは全くの別もの。日本各地にいろんな文化があるんですね。こういうの知れるのも醍醐味。
■西京味噌 – Wikipedia
■京都でほっこり白味噌雑煮|グルメ探訪|観光ガイド|そうだ 京都、行こう。~京都への旅行、観光スポットで京都遊び~
http://souda-kyoto.jp/travel/eat/ozouni.html
そして待望のお肉。
国産牛肉に、上にのっているのは梨のソース。
これもチャレンジですね。フルーツ系のソースで何度か食べたことはありますが、さすがに梨は初めて。
梨とかスイカとか水分の多い果物は、味の構成上ジュースやソースにしにくいはずなのですが、見事に融和されています。ガーリックも入っているのですが、梨と相性がいいんですかね?
旬の食材を使ってもらうことで、四季の移り変わりを身体が感じることができる。日本の、和食の醍醐味ですね。
このお肉ですが、すごい美味しかった!
最後の方でお腹いっぱいになりかけてましたが、まだ欲しいと身体が求めるくらい美味しい。
ここで、お食事。
ご飯とみそ汁、お漬物。
お米ふっくらして美味しかった…!
アイスとお茶。
やっぱり、この終わり方ですねー!
アイスにお茶をかけてアフォガードっぽくいただくのも自由とのこと。
というわけでここで終了。
優しい料理でしたが、アグレッシブでもありすごく刺激を受ける料理でした。
少しお値段高めですけど、また食べにきたい。美味しかった!
ごちそうさま。
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